「マレーシア観光客が中国へ殺到、日本旅行の回復に向けた課題とは?観光インバウンドの動向とマレーシア市場の分析」
- cecil4885
- 1月16日
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近年、中国はマレーシア人旅行者の間で急速に人気が高まっています。特に、マレーシア人に対するビザ免除政策の発表後、旅行トレンドが大きく変わり、マレーシア華人コミュニティの間で中国がトップの旅行先として注目されています。
この動向を後押しする要因として、日本観光インバウンドの動向とマレーシア市場の分析が重要です。日本への関心が低下する一方、中国の魅力が高まっている理由を深掘り、観光業の回復に向けた戦略が求められています。
【マレーシア人旅行者にとって中国が人気の理由】
ビザ免除政策:中国政府が実施したビザ免除政策は、旅行手続きの簡略化を促し、多くのマレーシア人がこの機会を活用して中国を訪れるようになりました。現時点でこの政策の終了時期は未定です。
伝統的なパフォーマンス:迫力があり、魅力的な現地の伝統的なパフォーマンスは、ユニークな文化体験を提供します。さらに、会場は広く、大人数での予約もスムーズに対応できます。
柔軟な旅行オプション:バス移動の制限が少なく、団体ツアーや都市間移動が非常に容易です。
手頃な旅行コスト:中国は手頃な宿泊施設や食事を提供しており、コストを重視する旅行者にとって魅力的です。
格安航空便:中国各地への直行便や格安航空便が多く、移動の利便性が向上しています。
言語の壁がない:マレーシア華人旅行者にとって、母国語である中国語(マンダリン)が広く話されているため、コミュニケーションが非常に円滑に行えます。
この情報はクランバレー地域の60以上の旅行会社からのフィードバックによるもので、中国は収益性の高い旅行先として他の人気国(日本、ヨーロッパ、オーストラリア)を大きく上回る結果が報告されています。
【日本が失速している理由】
日本は文化の豊かさ、現代的なアトラクション、伝統が魅力的な目的地として長らく人気を保ってきました。しかし、最近の開発や状況変化により以下の課題が生じています。
JRパスの問題:最近の値上げと旅行会社向けの手数料削減により、旅行会社がJRパスを販売しなくなる傾向があります。これにより、団体旅行の計画にも影響が出ており、JRパスを組み込んだ手頃なパッケージが提供されにくくなっています。また、個人旅行者にとっても、値上げによりパスの費用対効果が下がり、大人数で旅行する家族やグループは、プライベートな交通手段を選択する傾向が強まっています。
地元旅行会社への支援不足:中国とは異なり、日本はマレーシアの旅行会社と広範な連携を行わず、マーケティング予算やインセンティブを提供していません。このため、地元旅行会社は日本市場に対する関心が薄れ、柔軟で魅力的なツアーパッケージを作成する能力が制限されています。例えば、リソースの共有や共同プロモーションの機会が乏しいことが、地元旅行者のニーズに合ったカスタマイズされた旅程を構築する妨げとなっています。
情報不足:ツアーパッケージを計画する際や顧客からの質問に対して、現地の言語で詳しい情報を得ることが難しい状況です。
言語の壁:日本では英語対応の標識や観光コミュニケーションが改善されてきたものの、言語の違いが多くの旅行者にとって障害となっています。
旅行コストの上昇:日本へのフライト料金が大幅に上昇し、宿泊施設も高額で、さらに部屋の広さが狭いため、特に家族連れの旅行者には不評です。マレーシア人は友人や家族と大人数で旅行することが多く、全員の宿泊費用が高額になることが日本旅行の魅力を低下させています。
【マレーシアの観光市場の複雑さ】
マレーシアの多民族国家としての特性は、観光マーケティングに独自の課題をもたらします。
マレー系旅行者:ハラール対応の食事、歴史、文化体験を重視。
中華系旅行者:観光とグルメ体験に関心が高く、牛肉を避ける傾向あり。
インド系旅行者:菜食主義や寺院巡り、精神的な旅に関心。
これらの多様なニーズに対応するため、マーケティング戦略はターゲット層ごとに細かく調整され、多言語対応や異なるマーケティングチャネルなどが求められます。
【結論】
中国の迅速で効果的な政策、地元旅行会社との戦略的連携が、多くのマレーシア人旅行者にとって中国を最優先の旅行先とする要因となっています。一方で、日本は旅行費用の高騰や旅行会社の優先順位の変化により、マレーシア市場での地位を取り戻す上で大きな課題に直面しています。特に、日本はプロモーション予算が不足しているため、マレーシアの旅行会社が日本を効果的にマーケティングする能力が制限されています。広告やイベントコラボレーション、カスタマイズされたパッケージ作成に向けた支援がほとんどない現状では、日本の魅力を十分に伝えられず、中国のように積極的に共同マーケティングを展開する国と競争することが難しくなっています。
この問題を解決するために、日本は共同キャンペーンへのリソースを拡充し、マレーシアの旅行会社向けのトレーニングプログラムを提供し、地元市場に合わせた共同プロモーションを支援するべきです。マレーシア市場の進化に伴い、旅行関連の関係者は、多様な旅行者層の特有のニーズと嗜好に合わせた取り組みを進める必要があります。
弊社ではマレーシア市場をターゲットとし、日本の自治体の観光レップを担当しています。M Bizplannerが提案する観光レップは、単なる旅行代理店へのセールスにとどまらず、総合的な観光プロモーションを目指します。例えば、日本とマレーシアのチームが協力して、地元の観光資源を地元の観光客が関心を持つ内容に改善します。旅行会社やメディアを招待して実地体験を促進し、その後はツアーの企画からフォローアップまでを支援し、旅行会社のスタッフ教育も行います。
ぜひご相談ください。

セシル べ
(Cecil Beh)
M Bizplanner コンサルタント
“2011年東京、立教大学卒業。2年間東京で日系企業の営業・生産・人事部を経験し、日系企業やお客様が期待しているサービスのクオリティーを心がけていました。2013年に帰国し、地元の企業で事業展開部の担当になりました。新しい事業を展開したい客様を応援すること、心を込めて頑張ってサポートしたいと思います。”
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