マレーシアにおける電子請求書の包括的ガイド- E-invoicing in Malaysia
- cecil4885
- 2024年7月29日
- 読了時間: 6分
電子請求書(エレクトロニックインボイシング)は、請求書の発行、受信、処理を電子的に行うシステムで、2024年からマレーシア政府によって義務化されます。このデジタルアプローチには、以下のような多くの利点があります。
運用効率:
請求書の作成、配信、処理を自動化し、手動の作業とエラーを大幅に削減します。
請求サイクルを加速させ、迅速な支払いとキャッシュフローの改善を実現します。
精度の向上:
データ入力の人為的なエラーを最小限に抑えます。
自動検証チェックを通じてデータの一貫性と正確性を確保します。
規制遵守:
税務規制および監査要件の遵守を確保します。
マレーシア税務当局のガイドラインに簡単に対応できます。
セキュリティの向上:
暗号化と安全な伝送プロトコルによりデータのセキュリティを強化します。
請求書詐欺や不正な改ざんのリスクを軽減します。
電子請求書を導入すべき企業
マレーシアでは、年間売上高がRM150,000以上のすべての企業が電子請求書を導入する必要があります。以下の企業が対象です:
中小企業(SME)
政府機関
サプライヤーおよびサービスプロバイダー
小売業者およびEコマースプラットフォーム
*売り上げがRM150,000以下の企業は、統合請求書を発行することが義務されています。
電子請求書の種類
自己請求書(Self-Billed E-Invoice):
自己請求書は、サプライヤーではなく購入者が発行する請求書です。この方法は特定のビジネス関係やシナリオで使用されます。
A. 正式な契約を持つ企業:
購入者とサプライヤーは、購入者がサプライヤーに代わって請求書を発行することを許可する正式な契約を結ぶ必要があります。この契約には自己請求書発行の条件が明記されている必要があります。
B. 大量取引:
同じサプライヤーと大量の取引を行う企業は、自己請求がより効率的です。これにより、両者の管理負担が軽減され、迅速かつ正確な請求が可能になります。
C. 委託販売および契約サービス:
委託在庫が一般的な業界や、購入者が商品やサービスの受け取りと受領を正確に管理できる契約サービスの場合、自己請求が有利です。
D. 税務規制の遵守:
購入者は、自己請求書がGSTまたはSSTなどの現地税務規制を遵守することを確認する必要があります。
自己請求書を発行できる企業の例:
製造業者: 原材料や部品を扱うサプライヤーと取引する企業。
小売チェーン: 複数のサプライヤーからの大量在庫を管理する企業。
建設会社: 各種材料やサービスを提供する下請け業者やサプライヤーと契約する企業。
物流プロバイダー: 多数のサプライヤーからのサービスや商品を取り扱う企業。
統合請求書(Consolidated E-Invoice):
統合請求書は、購入者とサプライヤー間の複数の取引を1つの請求書にまとめたものです。この方法は、頻繁に繰り返される取引がある企業に適しています。
頻繁な取引:
同じサプライヤーと頻繁に取引を行う企業は、統合請求書の発行が有益です。このアプローチは請求を簡素化し、処理される個々の請求書の数を減らします。
長期契約:
長期供給契約やサービス契約を行っている企業は、統合請求書を使用して会計プロセスを効率化できます。
月次または定期的な請求サイクル:
月次または他の定期的な請求サイクルで運営される企業は、その期間内のすべての取引を1つの請求書にまとめることができます。
コスト管理:
請求書の数を減らすことで、管理および処理コストが削減され、統合請求書はコスト管理に効率的なアプローチとなります。
統合請求書を発行できる企業の例:
卸売業者: 小売業者と定期的に取引を行う企業。
サービスプロバイダー: ITサポート、メンテナンス、コンサルティングなどの継続的なサービスを提供する企業。
公益事業会社: 電気、水道、通信などの月次利用料を顧客に請求する企業。
サブスクリプションベースのビジネス: 顧客に対する月次料金を統合する企業。
マレーシアにおける電子請求書の導入ステップ
規制要件の理解:
マレーシア税務当局(例:Lembaga Hasil Dalam Negeri Malaysia、LHDN)による電子請求書に関するガイドラインを確認します。
電子請求プロセスがGSTまたはSST規制を遵守していることを確認します。
電子請求ソリューション(ソフトウェア)の選択:
ビジネスニーズに基づいて異なる電子請求ソフトウェアオプションを評価します。(Bukku,SQL,AutoCountなど)
既存の会計およびERPシステムとの統合。
* SAP ERPとのシステム統合はSAP ERP は政府公認の電子請求書 API とシームレスに接続することです。
会計システムとの統合:
電子請求ソリューションと会計およびERPシステム間のシームレスな統合を確保します。
データフローを自動化して手動データ入力を回避し、エラーを最小限に抑えます。
スタッフのトレーニング:
新しい電子請求システムに慣れるためのトレーニングセッションを実施します。
スムーズな移行を確保するために、詳細なドキュメントとサポートを提供します。
取引先とのコミュニケーション:
サプライヤーおよび顧客に電子請求書への移行について通知します。
システムのテスト:
電子請求システムの試運転を行い、問題を特定して解決します。
本稼働:
テストが完了し、問題が解決されたら、組織全体で電子請求システムを導入します。
システムのパフォーマンスを継続的に監視し、フィードバックを収集して改善します。
継続的な監視と改善:
電子請求プロセスがビジネスニーズおよび規制要件を満たしているか定期的に確認します。
規制の変更や技術進歩に対応するために、最新情報を常に把握します。
電子請求書を導入することで、マレーシアの企業は運用効率を大幅に向上させ、コストを削減し、規制要件の遵守を確保し、環境の持続可能性に貢献することができます。この包括的なガイドは、外国企業や投資家がマレーシアにおける電子請求書について詳細に理解し、この技術を成功裏に採用するためのステップを提供することを目的としています。
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セシル べ

M Bizplanner コンサルタント
“2011年東京、立教大学卒業。2年間東京で日系企業の営業・生産・人事部を経験し、日系企業やお客様が期待しているサービスのクオリティーを心がけていました。2013年に帰国し、地元の企業で事業展開部の担当になりました。新しい事業を展開したい客様を応援すること、心を込めて頑張ってサポートしたいと思います。”
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